「理念は浸透しない」
いろんな人の導きが有り、理念経営コンサルタントの道を歩み始めたころのことでした。
「理念経営」は素晴らしい。経営者の純粋な想いを社員さんに浸透すべきだ。
なぜならば、それでみんなが幸せになれるのだから。
そう固く信じていた私に「理念は浸透しない」という現実が突きつけられました。
経営者の理念創りに関わっていると、その経営者の純粋な想いに触れ強く感動することが多々あります。だからこそ、その純粋な想いを社員さんに浸透させたい!と思うことも自然な反応でした。
ところが上手くいかない。社員さんの表情を見ると一見前向きに理念浸透プロジェクトに取り組んでいる様子なのですがどこか表情が苦しそう・・・。
人に力を与えるメッセージを送っているのに・・・。
「浸透」この言葉を聴いて、あなたは何を感じますでしょうか?
「理念」は自分(社員さん)のものではありません。
経営者もしくは法人(会社)が最も大切にする価値観・信条のことです。
要は他人のものです。
人は他人からモノやコトを押し付けられると、心の中で苦しさ・葛藤を感じます。
私たちも動物ですから自分の身を守るという生存本能が働くのです。
「浸透」という言葉の解釈・行為が間違っていたのです。
ですから、苦しさや葛藤を感じることは自然な反応だったのです。
では、どうしたら理念を社員さんに大切にしてもらえるのだろうか?
そのキーワードは「尊重」でした。
会社の理念を尊重するためには、経営者(=会社)の純粋な想いだけではなくお互いの大切にしているコト。
つまり、社員さん一人ひとりの純粋な想い。社員さんの理念が必要でした。
そして、お互いの理念は良いとか悪いとか評価・判断するものではなく
その人(法人)が大切にする価値観・信条として尊重し大切にすること。
普段の人間関係を考えたとき、この考え方は実に自然な在り方だと思いました。
それを一方的に押し付け浸透させようとする行為が不自然な行為だったのです。
理念を大切にする経営者が、ご自身の理念を見出すために考え、語り合った下記の問い。
・私はなんのためにこの会社で働いているのか?
・私は誰のお役に立とうとしているのか?
・私の求めているものは何か?
・私にとって幸せとはなにか?
・共に働いてくれる仲間、会社にはどんな貢献をしたいと思っているのか?
・自分にとって大切にしたい理念とは何か?
企業理念・経営理念が経営者の「やる理由・働く理由」としたときに、
社員さん一人ひとりの「やる理由・働く理由」として個人の理念を明確にすることが必要だったのです。
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